保険 で大損する日本人のマインド。今すぐ根拠ある『 見直し 』を!

2019年1月19日

少し前に、生命保険会社の大手がそろって最高益(過去最大の基礎利益)を更新したといったニュースがありました。外貨建ての保険商品が収益を押し上げたそうです。保険商品が大いに売れているということには、ご自身の将来に何らか不安をお感じの方が多いということを実感します。

しかし、将来に何らか不安を感じた時に『各種保険に加入する』ということは、本当にベストチョイスなのでしょうか。本記事では、日本の保険制度を踏まえると、民間の保険に加入することで、実は将来の不安を多少なりとも増長させてしまっているおそれがあることをご説明したいと思います。

 

世界有数の社会保険制度を完備する日本

『あんなことがあると不安ですよね?』『こんなことがあると不安ですよね?』というフレーズのもと、保険への加入を進められることがあるかと思います。

しかしながら、日本には『国民皆保険制度』があるため、黙っていても日本人であれば一定の保険に加入できている状態となります。ですので、民間保険の必要性を考える前に、まずは『国民皆保険制度』について簡単にご紹介したいと思います。

 

社会保険制度の構成要素「年金、医療保険、雇用保険、労災保険」

日本の社会保険制度は大きく「年金」「医療保険」「雇用保険」「労災保険」の4つで構成されます。それぞれ、厚生労働省のサイトでは次のように説明されています。

制度名 概要
年金
  • 20~60歳の全ての居住者が国民年金に加入
  • 原則、65歳から老齢給付を支給
  • 障害給付、遺族給付についても支給
医療保険
  • 全ての居住者が加入
  • 現物給付が原則(一部現金給付あり)
雇用保険
  • 原則、全ての被用者が加入
  • 失業した場合、教育訓練を受けた場合等に給付(倒産・解雇等により失業した場合、最高330日給付)
労災保険
  • 原則、労働者を使用する全ての事業が加入
  • 労働災害が発生した場合に、労働者等に対して給付(現物給付、現金給付)

 

それぞれの概要を簡単にご説明いたします。

 

年金制度の概要

  • 現役世代(20~60歳)は全て国民年金の被保険者となり、高齢期(65歳以上)になれば基礎年金の給付を受けることができる。
  • サラリーマンや公務員は、厚生年金や共済年金に加入することにより、基礎年金に加えて報酬比例年金の給付を受けることができる。
  • 上述に加えて、個人で個人年金(保険商品の一種ですね)に加入することができる。
  • 給付の種類には、「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」といったものがある。

 

医療保険の概要

  • 6~69歳の人が病院に支払う自己負担額は3割となる。
  • ひと月あたりの自己負担が一定額を超過した場合、超過分については1%だけ負担すればよい(高額療養費制度)。なお、一定額(=自己負担の上限額)は収入によって算出されるが、月収50万以下なら8万円程度となる。

 

雇用保険の概要

  • 被保険者の生活を守るための保険であり、手続きや給付はハローワークがおこなっている。
  • 雇用保険の種類には、「基本手当(いわゆる失業手当)」「育児休業給付」「介護休業給付」「教育訓練給付」「高年齢雇用継続基本給付」といった種類がある。
  • 基本手当は、就業年数や退職方法によって受け取れる額が変わってくる。例えば、自己都合で企業を退職した場合、1年以上の就業期間で3ヶ月分、10年以上で4カ月分、20年以上で5カ月分となる。

 

労災保険の概要

  • 業務中や通勤の際にケガや病気にかかった場合、休業中の賃金を補償してくれる。
  • 後遺障害が残った場合や死亡した場合、その労働者の遺族へ保険給付がおこなわれる。

 

いかがでしょうか。

日本人は、有無を言わさず、給料の額面と手取りの差額によって、既にこれだけの保険に加入させられているのです。

次項以降、「それでも民間保険は必要なのか?」という点について考えていきたいと思います。

 

 

民間保険(医療保険・外貨建て保険)の『 見直し 』の実践

上述の通り、日本人はご自分の意思とは関係なく、既に多くの保険に加入しています。

そうした際に、『 民間保険は本当に必要か?』という点について、代表的な民間保険となる『 医療保険 』、加えて生命保険会社の最高益更新の原動力となった『 外貨建て保険 』を例に考えてみたいと思います。

 

民間の医療保険は本当に必要か? 【結論:不要】

まず復習ですが、国民皆保険制度で皆さんが既に加入している公的医療保険のおかげで、自己負担額は3割で済みます。さらに、一定額(多くの方は8万円前後)を超過した分については、わずか1%の負担で済みます。

これに対して、『 民間の医療保険は何をしてくれるのか?』というと、入院時や手術時に所定の給付金(数万円から20~30万円程度といったところでしょうか)を支払ってくれるというのが一般的ではないでしょうか。民間の医療保険からも給付してくれる分には嬉しい限りですが、冷静に考えて、毎月それなりの掛け金を支払って備える価値があるほどの金額でしょうか

民間の医療保険から、数百万や数千万の給付金を受け取れるのであれば話は変わりますが、給付金はそこまで高額ではありません。これならば、普通に貯金したうえで、差額ベッド代等も含めて自分自身で支払ったとしてもお釣りがくるのではないでしょうか。

保険の見直し(医療保険)

 

外貨建て保険は本当に必要か? 【結論:不要】

生命保険会社の最高益(過去最大の基礎利益)の要因となった外貨建ての保険商品についても考えてみたいと思います。これはずばり運用を目的とした保険ですね。

適当な保険会社のパンフレットやサイトをご覧いただくとわかりますが、いずれの保険も辺戻率の高さを謳っているはずです。また、銀行預金ではお金が増えませんというセールストークが必ず出るはずです。確かに辺戻率の数字だけ見ると非常に魅力的に感じますが、あくまでこの数字は外貨ベースであり、円換算すれば元本割れするおそれがあることの裏返しです(約款等を細かく読んでいただくと必ず注意書きがあります)。

加えて、運用を目的としているにも関わらず、その諸費用が透明性をもって公開されていないことにも不信感を持ちます。正直、運用を目的とするのであれば、金融庁の厳しい基準をクリアした『つみたてNISA』で運用する方が安心ですし、税制面でも優遇を受けることができます。選べる投資信託が少ないといった苦言を聞くこともありますが、それは裏を返せば、消費者のことを第一に考えた良心的な投資信託が日本には少ないということにすぎません。

保険の見直し(外貨建て保険)

 

 

まとめ ~不安を煽るセールストークに負けない~

本記事では、『医療保険』と『外貨建て保険』だけを取り上げましたが、その他の保険についても似たような考え方ができる商品は多いと思います。

保険会社の営業マンは、必ずといっていいほど消費者の不安を煽ってきます。是非、そんなセールストークに負けることなく、冷静にその必要性を検討してみてくだい。時には、その場では頑として断り続けて、家に帰ってから改めて考えてみるということも必要です。

最後に、保険で損しないための参考情報として2点ご紹介したいと思います。

 

保険会社と ”資本関係がない” ファイナンシャルプランナーを活用

色々とお悩みの方は、保険会社と資本関係がない(=中立の)ファイナンシャルプランナーや相談窓口に行ってみるのも有用かと思います。

このような同相談窓口を経由して契約すると、一定の手数料のようなものが相談窓口側にも支払われるはずなので(そうでなければビジネスが成立しないはず)、一定のセールス要素が入ってくるおそれはあります。しかし、保険会社のセールスマンのように、自社製品を必要以上にプッシュしてくることはないので無料相談ぐらいであれば活用する価値は十分にあるかと思います。

保険会社の営業マンと同じように、必要以上と感じるセールストークを始められてしまったら、お店を変えればいいだけといった感じですね。

 

年金保険を節税の手段と割り切って、必要最低限の掛け金で加入

もう一つは、『 年金保険 』を節税の手段と割り切って加入するのも有効です。

具体的には、一定の利回りが見込める年金保険に対して、所得税控除額の上限金額分だけ(=おそらく多くの年金保険における最低金額の掛け金にて)加入するという方法です。

『 年金保険 』の利回り、および『 節税 』の金額をそれぞれ見てしまうと大したことありませんが、両方を足し算した利回りを計算してみると意外と悪くありません。少なくとも銀行預金で老後に備えるよりは遥かにいいと思います。

この辺りは下記の記事にて詳述しておりますので、ご興味がございましたら、是非ご一読いただけますと幸いです。